落とした「。」の拾い方

「。」を探す日々

こんな夜のおはなし

 

楽しかった1日もあと15分で更新される

 

月は影り、外灯が夜道を照らす。

 

今日はベッドが広い。

 

こんな夜のおはなし。

 

 

 

寝室のカーテンを

 

また買い忘れてしまった。

 

というのも、

 

引っ越してきてから新調したのは

 

リビングの遮光カーテンとレースのみで

 

他は前回のアパートから引き継いだものなのだ。

 

 

ここ数年の目まぐるしい引っ越し三昧を

物語るかのようなペラペラのカーテン。

 

レースはサイズが合わずまだつけていない。

 

1番陽の光を気にする箇所なのに…と

 

目覚める度に思うのだ。

 

眩しそうにぬいぐるみを抱える彼をみて

 

申し訳なさと愛しさがぶつかり合う。

 

 

夜もそれは続いていて

目の前にある外灯1と2が

こちらを照らしている。

 

引っ越した当初は

月明かりだと思っていたが

人口光だったわけだ。

 

(外灯を月だと思い写真撮影した過去を持つのでこれはいたしかたない)

 

いつになったら遮光カーテンを購入するのだろうか。

 

他に優先すべき買い物リストがあり

そこをクリアしない限り

明るい寝室は変わらなさそうなのである。

 

 

しかしちょっとしたいいこともある。

 

私だけの秘密だったが

今日は特別に話そうと思う。

 

彼の寝顔がよく見えるのだ。

 

自他ともに認める、顔面偏差値が国宝レベルの彼。

 

(もちろん性格も)

 

そんな彼の無防備な姿を見つめる機会を

この薄いカーテンが作り出してくれているのだ。

 

 

新しいカーテンを買うまでの〇日、

 

見やすいうちにたくさん見ておこうと思う。

 

 

さて、

 

日付が変わり新しい、いつもの1日がはじまる。

 

いつもより広いベッドに

寂しさをうずめながら

 

夢でも会えるようにと願いを込めて

 

カーテンから零れる光と

隙間から覗く夜空に

想いを馳せる

 

こんな夜のおはなし。